個人事業主の屋号と住所|開業届の書き方とバーチャルオフィスの使い方
結論:開業届の「納税地」は原則として住民票のある自宅で、バーチャルオフィスの住所は事業所の所在地として使います。屋号で郵便を受け取るなら、バーチャルオフィスに屋号の宛名を登録しておく必要があります(GMO・DMMは屋号追加 月1,650円の記載)。
開業届は、事業を始めた年の確定申告期限までに、納税地を所轄する税務署へ出します(国税庁)。
次にやること:屋号と事業所の住所を決め、バーチャルオフィスの宛名登録の条件を確認してから開業届を出します。
開業届はいつ・どこに出す?
国税庁の「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」で確認した内容です。
| 項目 | 国税庁の案内 |
|---|---|
| どんなときに出す | 新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設・増設・移転・廃止したとき、事業を廃止したとき |
| 提出時期 | 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで |
| 提出先 | 納税地を所轄する税務署長 |
| e-Tax | 使える。e-Taxで出す場合は本人確認書類の提示・写しの添付は不要 |
| 事業所が納税地と違う場合 | 事業所の所在地が納税地と異なっても、納税地を所轄する税務署長以外の税務署長への提出は不要 |
提出時期は所得税法第229条にもとづきます。以前は「事業開始から1か月以内」と案内されていましたが、2026-11-01時点の国税庁の案内は上の表のとおりです。
開業届の住所はどう書く?
所得税法第15条は、個人の納税地を原則として住所地(国内に住所がある場合)としています。バーチャルオフィスは生活の本拠ではないので、納税地にはふつう自宅の住所を書きます。
バーチャルオフィスの住所は、自宅とは別の事業所の所在地として書く使い方が一般的です。所得税法第16条には、住所地に代えて事業場等の所在地を納税地にできる特例がありますが、バーチャルオフィスがその「事業場等」に当たるか、手続きが必要かは、所轄の税務署で確認してください(詳しくは開業届の記事)。
開業届の様式の欄の名前は、国税庁の様式(PDF)で確認してください。
屋号はどう決める?
屋号は、個人事業の「店名・事務所名」です。付けなくても事業はできますが、付けると次の場面で使えます。
- 請求書・見積書・名刺・Webサイトの事業者名
- 郵便の宛名(バーチャルオフィスで受け取る場合は登録が必要なことがある)
- 銀行口座の名義(屋号を入れられるかは銀行ごとに違う)
- インボイス制度の公表サイトの任意の公表事項(申出をすれば主たる屋号や主たる事務所の所在地などを公表できる)
国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトの案内では、個人事業者は申出をした場合に限り、主たる屋号や主たる事務所の所在地等を公表できます。何も申し出なければ、屋号や事務所の所在地は公表されません。
屋号宛の郵便をバーチャルオフィスで受け取るには?
バーチャルオフィスは、届いた郵便の宛名で「誰宛か」を判断します。屋号で届く郵便を受け取ってもらうには、契約者の氏名だけでなく屋号も登録しておく必要があります。
| 会社 | 宛名・屋号の扱い(公式の記載) |
|---|---|
| GMOオフィスサポート | 宛名(屋号等)の追加 月1,650円(個人・法人それぞれ1つまで無料)。サービスルールで、宛名は会員の商号・名称か、申請で許可された宛名にするよう送り主に伝える必要があると記載 |
| DMMバーチャルオフィス | 屋号追加 月1,650円 |
| レゾナンス | 法人名宛の郵便を受け取るには、6か月以内発行の履歴事項全部証明書(電子版不可)の提出が必要 |
GMOオフィスサポートは個人・法人それぞれ1つまで宛名の追加が無料と書いています。屋号を1つだけ使うなら、追加料金なしで済む可能性があります。屋号が2つ以上ある場合や、法人化して屋号と会社名の両方で郵便が届く場合は、追加料金を計算に入れておきましょう。
個人事業主がバーチャルオフィスを使うと年いくら?
法人登記をせず、郵便は月4通・月1回転送の場合です。
| 順位 | 会社・プラン | 1年目の総額 | 2年目以降の年額 | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | レゾナンス バーチャルオフィスコース | 20,980円 | 15,480円 | 支払いサイクル(月払い/年払い)は公式で要確認/税込・税別の表示なし(表示額で計算)/1年払い+週1回転送は入会金0円のキャンペーン中と記載(計算は入会金5,500円を含む) |
| 2 | バーチャルオフィス1 ワンプラン(年間契約・一括10,560円) | 23,260円 | 17,760円 | — |
| 3 | GMOオフィスサポート 月1転送プラン | 34,320円 | 34,320円 | 支払いサイクル(月払い/年払い)は公式で要確認 |
| 4 | NAWABARI ネットショップ運営プラン(月契約・一括13,200円も同額) | 42,700円 | 37,200円 | 想定利用者はネットショップ運営者・インフルエンサー・私書箱利用者/転送料はレターパックライト500円(250g以内)/プラス630円で計算(郵便転送ページの記載)/料金ページは『法人登記』を含むと記載、よくある質問は『ビジネスプランをご契約いただければ登記可能』と記載(食い違い)。登記に使うなら申込前に確認 |
| 5 | ワンストップビジネスセンター エコノミープラン(銀行振込・年払い=1か月分無料) | 68,860円 | 58,080円 | 年額58,080円(公式の計算例) |
| 6 | METS OFFICE ネットショッププラン(最低利用12か月)+未公表の費用 | 10,450円 | 6,600円 | 即時転送のみ(郵便物ごとに転送)/転送料の金額が公式ページに記載なし(計算に含まず)/法人登記不可。郵便は自動で即時転送(転送料はプランページに記載なし) |
| 7 | デジラボ 年払いコース(一括26,400円)+未公表の費用 | 29,700円 | 26,400円 | 転送頻度は公式で要確認/転送料の金額が公式ページに記載なし(計算に含まず)/初期費用はページ内に3,300円と2,200円の2つの記載があり、高いほう(3,300円)で計算 |
| 8 | 和文化推進協会(京都朱雀スタジオ) 朱雀なえもんプラン(年間6,000円・税別)+未公表の費用 | 33,000円 | 33,000円 | 転送1回の手数料のみ計算(郵送実費は含まず)/入会金・初期費用は要確認(計算に含まず)/転送料は500円(税別)+郵送実費。実費分は計算に含まず |
| 9 | DMMバーチャルオフィス ベーシックプラン(年間契約・一括前払い)+未公表の費用 | 34,320円 | 34,320円 | 入会金・初期費用は要確認(計算に含まず)/月額は『2,530円〜』表示/入会金は料金ページで確認できず/ミニマムは一般の郵便物を受け取れない(返品・返送と個人事業主の税金書類のみ)ため、ミニマムは候補外 |
| 10 | ナレッジソサエティ バーチャルオフィスメンバー+未公表の費用 | 59,400円 | 59,400円 | 支払いサイクル(月払い/年払い)は公式で要確認/転送頻度は公式で要確認/転送料の金額が公式ページに記載なし(計算に含まず)/入会金・初期費用は要確認(計算に含まず)/税込・税別の表示なし(表示額で計算)/月額は『4,950円〜』表示 |
| 11 | Karigo(カリゴ) ホワイトプラン+未公表の費用 | 61,900円 | 56,400円 | 支払いサイクル(月払い/年払い)は公式で要確認/転送頻度は公式で要確認/転送料の金額が公式ページに記載なし(計算に含まず)/月額4,700円〜・入会金5,500円〜(店舗により異なる) |
DMMバーチャルオフィスのミニマムプラン(月660円)は、受け取れるのが返品・返送品と、国・都道府県から届く個人事業主の税金関連書類だけで、取引先や銀行からの郵便は受け取れません。郵便がある計算では候補から外しています。
屋号と住所を決めるときの注意点は?
- 屋号と同じ名前の会社が同じ住所にあると紛らわしい:法人の商号は同じ住所で重複して登記できませんが(商業登記法第27条)、個人の屋号には同じ仕組みはありません。郵便の取り違えを防ぐため、屋号は具体的にしておくと安心です。
- 住所を名刺・サイトに載せる前に契約を済ませる:GMOオフィスサポートの利用規約は、契約前や契約終了後に提供住所を使うことを禁止しています。
- 生活の本拠の住所としては使わない:GMOオフィスサポートの利用規約は、住民票・運転免許証・旅券など生活の本拠のある場所に置くべきものへの利用を禁止しています。
- あとで法人化するなら:登記に使えるプランかを最初に確認しておくと、法人化のときに住所を変えずに済みます(合同会社の設立)。
屋号や住所を変えたら何をする?
屋号や事業所の住所を変えたときは、使っている場所をまとめて書き換えます。
- バーチャルオフィスの宛名登録:新しい屋号を登録し、古い屋号宛の郵便をいつまで受け取るかを確認する。
- 名刺・Webサイト・請求書のひな形:住所と屋号を一度に書き換える。
- 銀行口座の名義:屋号を名義に入れている場合は、銀行の手続きが必要になることがある。
- 税務署への届出:事業所の移転は、国税庁の案内にある開業届出・廃業届出等手続(事務所・事業所の新設・移転など)の対象です。屋号だけを変えた場合の届出の要否は、所轄の税務署で確認してください。
- インボイスの公表事項:屋号や事務所の所在地を公表している場合は、変更の申出書を出す。
自分の条件(登記・特商法・郵便の量・電話・会議室・エリア)での1年目の総額は、トップの計算ツールで出せます。入力内容は送信されません。
よくある質問
- 開業届はいつまでにどこへ出す?
- 国税庁の案内では、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに、納税地を所轄する税務署長に提出します。e-Taxで出す場合は本人確認書類の提示・写しの添付は不要です。
- 開業届の住所欄にバーチャルオフィスの住所を書ける?
- 納税地は原則として住所地(住民票のある自宅など)です。バーチャルオフィスの住所は、事業所の所在地として書く欄に使うのが一般的です。事業所の所在地が納税地と違っても、納税地を所轄する税務署以外への提出は不要と国税庁は案内しています。
- 屋号宛の郵便はバーチャルオフィスで受け取れる?
- 会社によっては宛名の登録が必要です。GMOオフィスサポートは宛名(屋号等)の追加が月1,650円(個人・法人それぞれ1つまで無料)、DMMバーチャルオフィスは屋号追加が月1,650円と公式に書いています。
- 屋号は必ず付ける?
- 付けなくても事業はできます。屋号を付けると請求書・名刺・銀行口座の名義などに使えますが、口座名義に屋号を入れられるかは銀行ごとに違います。
出典・確認した一次情報
- 国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
- 所得税法 第15条・第16条・第229条(e-Gov):https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト 登録番号に関する情報:https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/about-toroku/touroku_no_info.html
- GMOオフィスサポート 料金:https://www.gmo-office.com/price/
- GMOオフィスサポート サービスルール:https://www.gmo-office.com/rules/
- DMMバーチャルオフィス 料金:https://virtualoffice.dmm.com/price
- レゾナンス 料金:https://virtualoffice-resonance.jp/price/